それでも、前輪(フロントタイヤ)から
スリップダウン(転倒)するのは? 【その6】
【その5】で、
「後輪が、グリップしていれば、前輪が滑っても転倒することはありません。」 と書きましたが、
それでも、フロントからスリップダウン、という経験をされた方もいると思います。
何故? それは、後輪(リアタイヤ)もグリップを失っているからです。
フロントからスリップダウン、の状況を思い出してみましょう。
多くは、限度を超えた急ブレーキ(パニックブレーキ)による「握りゴケ」。
(本当はブレーキレバーは握るのではなく「引く」が正しい操作)
このとき、急激なフロントブレーキの作動で、
バイクの車重、ライダーの体重のほとんどは前輪にかかり、
後輪はほとんどグリップしていません。
急激なフロント荷重で前輪は滑りやすい状態、
あるいは、すでに滑り出した(ロックした)状態である上に、
後輪は、ほとんどグリップが抜けた状態です。
さらに、急激な過度のブレーキ操作で、
両腕には力が入り、ハンドルを押さえつけた状態。
つまり、バランスを崩しかけたバイクの復元力を阻害した状態で、
バイクがバランスを保てなくしているのです。
そのうえ、本来なら、車体に固定されておらず自由に動くフロントフォークは、
瞬間的に、車体に固定された状態になります。
過度の急激なフロントブレーキ操作は、
フロントサスペンション(フロントフォーク)の沈み込みのノーズダイブに加速がつき、
路面追従のために残る、バネの残りしろまでも使い果たした、フルボトム状態になってしまいます。
一時的にせよ、サスペンションの機能は失われた状態です。
つまり、
・前輪がロック
・後輪もグリップ不十分
・車体の安定性や復元力も阻害
・サスペンション(路面追従)機能もなくしている
・フロントフォークがスムーズに動けなくなっている
前輪(フロントタイヤ)がスリップしても転倒しないための
バイクの構造的機能が、すべて失われた状態であるからなのです。
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